まずは矯正展について。
地域社会の皆さんに再犯防止に関する取り組みなど矯正行政について理解を深めて頂く為に開催されている催事であり、刑務所内見学や更生保護活動についての取り組みはもとよりキッチンカーやB級グルメ、更生保護女性の会各支部による物品販売、そして何より全国刑務所からの受刑者作業製品の販売が行われます。作業製品は非常に仕上がりが丁寧で頑丈と好評で、より安価で購入できることもあり、私も例年購入させて戴き海外にも送らせて戴いております。
三重刑務所
2019年11月9日地元三重県刑務所様の矯正展に初出演させて戴きました。
三重県刑務所様は通りからも見える大正期建設とされる前身安濃津監獄正門がランドマークとなっております。
ここ数年で矯正展の来場者がうなぎ昇りとのことで所内見学も長蛇の列となっておりました。
近年B級グルメとして注目を集める”津ぎょうざ”太郎の店ようこそ様、また岐阜刑務所に続き受刑者レシピによるパン(即完売の人気でした)、カレーの販売、更に三重県下で最も勢力的に活動されているBBS会のブース、笑いヨガの元気な女性グループの方とも交流させて戴きました。
児童支援施設国児学園様による太鼓演奏もあり、地元四日市の皆様はもとより名張市・伊賀市・明和町・多気町・津市・亀山市・鈴鹿市他の更生保護女性の会の皆様ともお逢い出来、新たな素晴らしいご縁を沢山頂戴した一日となりました。
三重県刑務所様も先日の岐阜県刑務所様同様高級家具の作業制作で全国的にも特筆され、特に昔ならでは箱階段の作品には感動致しました。
また宮川医療少年院様での活動としての頑丈な陶芸作品を購入させて戴きました。
岐阜刑務所
2019年第一弾として岐阜県刑務所矯正展に出演させて戴きました(同年中に複数刑務所矯正展に出演する者も珍しいのではないかと自負しております)
岐阜県刑務所は長期収容者また再犯者の男性収容施設(平均年齢55才、最高齢は89才。2019年現在700名程収容)で、一部著名事件の受刑者も収容されているようです。受刑者の一日の食費は450円程度、比較的豪勢なものとなっておりますが、食事が原因の暴動もあり、気を遣っていらっしゃるとのことです。また作業報奨金は多い人で2万5千円程度のことで多くの受刑者がいわゆる作業着(つなぎ)の縫製に当たっています。また法務大臣賞を受賞される高級木工家具セットの作業制作で知られ、限定50の箱の販売も名物となっております。
各ブースでは受刑者レシピによるカレーの販売、横浜刑務所で制作され私も例年購入させて頂いているうどんの販売、また職員OB刑友会の皆様による生産野菜の販売更には保護動物の里親探し等非常に多岐にわたっております。
また同県はBBS(下記参照ください)活動も盛んな県の一つでありブースも出されています。
岐阜市西北部の谷汲や大野町にほど近い自然豊かな処に立地している所様にて大変有意義な時間を過ごさせて戴きました。
京都刑務所
2017年出演させて戴いた京都刑務所は京都市の最東部にあたる山科区に所在しております。
現在地に昭和2年(1927)移転する前は明治2年(1869)開設の六角牢屋敷に起源を発する古い刑務所であります。
矯正展当日は生憎の雨天となり、残念ながら来場者も例年より少なくなりましたが、大きな体育館(館内では独房の生活の様子、囚人食などの展示もありました)で歌唱させて戴きました。
また非常に精力的な活動で全国的に特筆される京都府更生保護女性の会の皆様、山科更生保護女性の会の皆様にもお逢い致しました。
所内見学では”最近ムスリムの受刑者が増え、イスラム教対応の食事も準備されている事”などを学ばせて戴きました。
和歌山刑務所
2018年出演させて戴きました和歌山刑務所は何より全国に11ある女子収容施設として著名であります(かつてはオウム事件の松本知子、時効直前の逮捕で知られる故福田和子両元受刑者を収容)。 当日は快晴に恵まれ、多くの来場者でにぎわいました。 女性収容施設らしく所内には職業訓練の一環としての美容室も開設されております。
こちらの刑務所は非常に積極的な取り組みでも知られ目下人気のゆるキャラグランプリ2018年度に”みかピー”(和歌山の名産のみかんとプリズン(刑務所)のPによる)を出場し、注目されました。
所内見学ではこちらも非常に多国籍に渡る収容が行われ、南アフリカ、ロシア、ルーマニア国籍の受刑者もいるとのことです。
また女性収容施設らしく職員も女性が多く、所長も女性が務められております。(2018年現在)
米国ニューヨーク州ウェストチェスター郡オシニング市シンシン刑務所
こちらは全米第二の規模の刑務所ということもあり直接内部訪問はさせて頂いておりませんが、刑務所についての展示室と市長を訪問させて戴きました。何と1820年代の設立時の監房が一部遺されており、それを目下博物館にする計画が進行中であります。刑務所入口の向かいは一般住宅街であり、また北には私が滞米時よく使用するメトロノース鉄道オシニング駅も近く、逃げ場が西側のハドソン川しかないという自信にあふれた構造となっています。(アメリカ映画は”終身犯””ショーシャンクの空に””グリーンマイル””デッドマンウォーキング””私は死にたくない!”等刑務所を題材にしたものが非常に多く感じられます。)
現在でも印税の問題でよく例にあげられるサムの息子事件のデヴィッド・バーコウィッツ(1953~)受刑者が収監されています。また私がよくMCで紹介させて戴く様に映画”ティファニーで朝食を”で主人公ホリーが愛人のマフィアの面会に訪れる刑務所として登場(これは設定のみで実際の所内での撮影ではありません)する他、門前のプレートに掲示されているように1930年ロバート・モンゴメリー(奥様は魔女で主演を務めたエリザベスの父)主演のアカデミー作品賞候補作”ビッグ・ハウス”のロケに使用される等、全米で知らぬ人のいない刑務所であります。 博物館プロジェクトについてはFacebookページをご覧ください。
追記:2019年12月オシニング市長(Supervisor)のデーナ・リーヴェンバーグ氏を訪問致しました。来年度のカレンダー制作の予定はなく、博物館も目下計画中が続いているとのことですが、素敵なシンシン刑務所のTシャツをお土産に頂きました。日本の矯正展制度についても”非常に興味深い”と仰られました。
2020年のCOVID-19禍以降はZoomによるドキュメンタリーが数回により行われ、新たな取り組みとして注目を集めました。
更生保護に関する用語について
・保護司—-犯罪や非行に陥った人の更生を任務とする。目下高齢化が進みなりて不足は深刻である。
・協力雇用主制度—-保護観察の対象となった人などを雇用し、就労継続に必要な生活指導や助言などを行う。
・篤志面接委員—-矯正施設内で、悩み事相談にのったり、矯正のため面談や講話を行っうボランティアの方々。
・教誨師—監獄内における受刑者の徳性涵養 のため講説する者をいう。
・BBS会—-少年少女たちに、一緒に悩み、一緒に学び、一緒に楽しむボランティア活動。活動を通じて更生保護への理解を深めている。
・作業報奨金—–受刑者が刑務所内で行う刑務作業の対価として受け取る金銭